キャサリン・ヘップバーン旅情おすすめ度 :

コメント:せつない別れ
YouTube 感動のラストシーン
今も目を瞑ると、列車から身を乗り出して力一杯手を振るキャサリンの姿が浮かんで来る。それは愛する男への哀切な別れか、戻り来ぬ青春への惜別の気持ちなのか。映画史に残る名場面であろう。
アメリカからベニスへ観光旅行にやって来た一人の女性。既に婚期を過ぎたオールドミスのジェーン(キャサリン・ヘブバーン)。何気なく入った一軒の骨董屋、その店のレナード(ロッサノ・ブラッツィ)と知り合い、いつしか恋に陥る。二人はサンマルコ広場で夜の食事を共にする。そして・・・。
ジェーンがレナードに抱かれたその翌朝、白々と明けかかったサンマルコ広場を二人が手をつないで歩くシーンは痛いほど胸を刺す。二人の他に人影はなく、鳩の群れが飛び交っている。
レナードには、不仲とはいえ妻がいることを知ったジェーンは身を引く決心をするのだ。
「君を不幸にしたのか?」
「いいえ、そんなことはないわ。私の生涯で一番幸福なときだったのよ。どうか、それは信じて」
「僕はあなたを愛しているよ。ジェーン、いつまでも愛するよ」
「ええ、このままお別れしたらね・・・。私はこれまでいつもパーティで帰りそびれていたの。帰る時期を知らなかったの。あなたのお陰で私は大人になったわ。いつ帰ったらいいかがわかったのよ。」
これほどハイミスの孤独な心理を描いた作品は滅多にない。
くちなしの花の入った箱を持って駅に駆けつけるレナード。手を伸ばすジェーン、必死に手を伸ばす、だが届かない。永遠の別れになるだろうことを予感させるカットだ。
運河を流れる花を取ろうと手を伸ばすが、僅かに届かない場面も同じだと思う。
真実の恋ははかなく消えやすいものだ。だが、別れのときが来ても、それはいつまでも心の中にきっと珠玉の光を放ち続けることだろう。
愛は永遠に・・・である。
1955年製作 監督 デヴィド・リーン 出演 キャサリン・ヘブバーン、ロッサノ・ブラッツィ

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